パワハラという言葉はよく耳にしますが,その定義はご存じですか?
実は,パワハラの定義を具体的に定めた法律はありません。
強いて言えば,厚生労働省の平成24年1月30日「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議WG報告」で,「職場のパワーハラスメントとは,同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と表現されています。
抽象的で難しい表現ですね。
パワハラは,加害者と被害者は,通常想像するのは上司と部下でしょうが,先輩後輩,同僚間でも起こりえますし,その加害態様も様々なことから,一律に定義付けするのがとても難しいからと思われます。
そのため,実際の場面でも,パワハラにあたるのかどうかを判断するのは非常に難しく,個別具体的な事情を考慮して,その行為がパワハラにあたり違法との評価を受けるのかを検討する必要があります。
その判断基準としては,行為態様,行為の目的,行為の必要性,その行為に至るまでの経緯,行為の程度,当事者の関係等,つまりは,関係する事情全てを詳細に検討しなければならないといえ,慎重な判断が必要です。
次回から,パワハラの具体的な裁判例での判断や,会社におけるパワハラ対策についてご紹介していきます。