公正証書や裁判所による和解・判決により養育費の額が決まったのに,相手方から支払ってもらえないということがよくあります。
そのような場合,相手方の給料を差し押さえて強制的に養育費を支払わせることが可能となります。
しかも,養育費の場合,他の債権とは異なり,非常に強力な制度となっています。
まず,養育費の差押が出来る範囲が,毎月の給料の2分の1まで可能となっています。他の債権であれば,給料は4分の1までしか差押ができませんから,非常に有効です。
さらに,支払期限が到来した未払いの養育費と併せて,支払期限の到来していない将来分の養育費についても,一括して申立てをすることが認められています。
つまり,支払期限が到来済の未払いの養育費について差押えをする際に,併せて,まだ支払期限が未到来の将来分の養育費についても差押えの申立てをしておけば,この一度の手続きで,養育費の支払いが終わるまで,毎月給料から天引きされることになります。
ただ,差押の申立てがなされると,相手方の職場に差押の通知が郵送されますので,それが原因で,相手方が解雇や自己退職に追い込まれる可能性がないとはいえません。そうなると,相手方の収入が減少するということになりかねませんので,その点は慎重に判断をする必要があるでしょう。